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「検索1位なのに問い合わせゼロ」 AI時代の新しい“圏外”が始まった2026年2月2日
検索で上位にいるのに、なぜか問い合わせが増えない。むしろ売上が落ちている。最近こういう相談が、現場で本当に増えました。昔なら「順位=流入=売上」にだいたい比例していたのに、いまはその公式が崩れています。
原因はシンプルで、検索エンジンが「探す場所」から「答える場所」へ変わりはじめたからです。とくに Google のAI要約(AI Overviews)は、その変化を象徴する存在になっています。
この記事では、数字で確認できる変化を押さえたうえで、従来のSEOがどこで詰まるのか、そして次に何を指標にして何を整えるべきかを、僕の言葉で整理します。読み終えたときに残るのは「AIだから仕方ない」ではなく、「じゃあ、うちはここから何を直す?」の具体像です。
検索が“回答エンジン”化した瞬間に、1位が価値を失いはじめた
AI Overviewsが出る割合は、観測データ上かなり速いペースで伸びました。たとえば米国デスクトップの大規模データ(Semrush+Datos)では、AI Overviewsの表示が2025年1月の6.49%から3月には13.14%に増えたと報告されています(2か月で約2倍)。
問題は「表示される」こと自体より、そのあと人がどう動くかです。Pew Research Center の分析(2025年3月の閲覧行動データ)では、AI要約が表示された検索では通常の検索結果リンクがクリックされたのは8%で、AI要約がない場合の15%より大きく低いと示されています。さらにAI要約内の“引用リンク”がクリックされるのは1%にとどまり、AI要約がある検索では26%がそのままブラウジングを終える(要約なしは16%)という結果も出ています。
つまり、検索で1位を取っても、そもそもクリックされない。クリックされても、検討の土俵に乗る前に“答えで満足して帰る”。この構造が、問い合わせゼロの正体だと思います。
ニュース領域は先に崩れた──ゼロクリックの増加が“未来の予告”になっている
ニュース関連の検索は、特に影響が先に出やすい領域です。Similarweb のデータとして、ニュース検索がクリックなしで終わる割合が、AI Overviews展開後の流れの中で2024年5月の56%から2025年5月には69%へ増えた、という整理が複数の業界記事で引用されています。
さらに全体傾向としても、Similarwebの分析を基にした Digiday の記事では、検索からの一般的な参照流入(1,000ドメインの合計)が2024年6月の120億訪問から2025年6月に112億訪問へ、約6.7%減ったと報じています。
ここが怖いのは、「検索する人が減った」のではなく、「検索した人が外へ出ない」方向に世界が寄っている点です。ニュースで起きたことは、ECでもBtoBでも、順番に起きます。見え方が違うだけで、根は同じです。
SEOとGEOの違い──キーワードではなく“文脈”で選ばれる世界になった
ここで最近よく聞くのがGEO(Generative Engine Optimization)です。言い方を変えると「AIに引用されやすい形に整える最適化」です。
従来のSEOの可視性は、検索結果で上位に出ることでした。GEOの可視性は、回答の中に登場することです。上位にいても回答に載らなければ、AIユーザーから見たら“存在しない”のと同じになります。
検索のしかた自体も変わっています。Pewのデータでは、検索語が長いほどAI要約が出やすく、10語以上の検索は53%がAI要約になった一方、1〜2語の短い検索は8%しかAI要約にならなかったとされています。
さらに、チャット型の質問は検索より長くなるという見立てもあり、従来検索が平均4語前後なのに対して、AIへの質問は20語台に伸びる、と説明する資料もあります。
要するに「キーワードを打つ」から「状況を説明して答えをもらう」へ寄っている。ここが土台の変化です。
そして、この変化に対する“効いた・効かない”を検証した研究として有名なのが、Princeton University の研究チームが公開しているGEO論文です。生成エンジン上での可視性(回答に登場する度合い)を、最適化によって最大40%改善できる、と報告されています。
新しいKPIは「クリック数」より「参照率」になる
SEOの時代は、成功指標が分かりやすかった。順位、クリック、流入、CVです。でもAI要約が広がると、クリックが減っても“影響力”が消えるとは限らない。逆に、クリックが取れなくても「答えの中で名前が出る」だけで、ブランドは積み上がります。
だから僕は、これからの基本KPIは二階建てになると思っています。ひとつは従来どおりの検索流入(売れる流入が残っているのも事実だから)。もうひとつは「AIがどれだけ自社を参照したか」です。最近は、この“AI上の可視性”を追うためのモニタリングがマーケ領域で語られ始めています。
ここで注意したいのは、AIに引用されること自体がゴールではない、という点です。引用は入口で、そこからブランド検索、指名、直訪、商談にどうつなげるかが勝負になります。ただ、入口が“クリック”から“引用”へズレたのは、もう戻りません。
AIに“選ばれる”ために、僕がまず整える3つのこと
ここは「手法の羅列」ではなく、順番が大事です。僕は次の順で整えます。
まず、質問に対して最初に答えることです。AIは要点を抜き出します。冒頭で核心に触れずに前置きが長いと、引用される可能性が下がります。短く言い切って、すぐに根拠と条件を書く。この順番が強い。
次に、情報の形を整えることです。AIは文章を“部品”として切り出します。だから一段落だけ読まれても意味が通じるように書く。見出しも、読む人のためだけじゃなく、切り出されても迷子にならないための骨格として使います。
最後に、根拠を明示することです。数字、日付、一次ソース、専門家のコメント。GEOの研究でも、統計の追加や引用の明示などが可視性向上に寄与する、と検証されています。
僕は「主張を強くする」ためではなく、「AIに安心して持っていかせる」ために根拠を置きます。
この3つをやっていくと、SEOとGEOがつながってきます。人間にも読みやすく、AIにも抜き出しやすい。その形が、いま一番強いと思います。
まとめ
AI Overviewsが増えるほど、「検索1位」でもクリックされない世界が広がります。表示率の増加は観測データで確認でき、AI要約が出た検索ではクリックが落ち、引用リンクのクリックは1%にとどまる、というユーザー行動も報告されています。
さらに、ニュース検索でのゼロクリック増加や、検索参照流入全体の減少は、「外に出ない検索」が構造として進んでいることを示しています。
僕はこれを、SEOが終わったとは言いません。ただ、SEOだけに寄りかかると“新しい圏外”に落ちる時代だと思っています。順位の勝負に加えて、回答の中に登場する勝負が始まった。だから次は、クリックを増やす設計と同時に、AIに引用される設計も持つ。それがいまの現実的な答えです。
私見・所感(筆者の意見)
僕がいちばん怖いと思うのは、順位を守るために、文章を“検索向けの作文”に戻してしまうことです。いま起きている変化は、検索エンジンが人間の代わりに要約してしまう、という構造の変化なので、小手先の書き方で抵抗しても勝ちにくい。
だから僕は、逆に腹をくくる方向がいいと思っています。クリックが減るのは避けられない部分がある。その代わり、AIの回答の中に自社が出る確率を上げる。そこでブランドが積み上がるように、サイト側の導線(指名検索、比較ページ、問い合わせの不安つぶし)を整える。
「検索1位なのに問い合わせゼロ」は、もう珍しい事故じゃなくて、新しい日常になりつつある。だからこそ、怖がるより先に、計測と設計を変える。その一歩を踏める会社が、次の数年で差をつけると思います。









