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楽天ROOMとショップページを「店舗目線」でフル活用する方法|導入から運用のコツ2025年12月8日

楽天ROOMは「楽天専用のショッピングSNS」
まずおさらいとして、楽天ROOM(楽天ルーム)がどんなサービスかを整理します。
楽天ROOMは、楽天市場の商品だけを扱う「ショッピングSNS」です。ユーザーは楽天市場の商品を自分の「my ROOM」に集めて投稿し、他のユーザーとフォロー・いいね・コメントでつながることができます。
仕組みとしては、投稿された商品リンク経由で誰かが購入すると、投稿者に楽天アフィリエイトの報酬(楽天キャッシュなど)が入る、という形になっています。投稿時点で自動的に楽天アフィリエイトリンクが生成されるため、ブログや自前サイトを持っていなくても、SNS感覚でアフィリエイトができるのが特徴です。
報酬は大きく「通常報酬」と「ROOMランクボーナス」の二層構造になっていて、通常報酬はジャンル別におおよそ2〜4%前後、そこにROOMランクに応じたボーナスが上乗せされ、合計最大7%程度まで到達する場合があります。また、楽天アフィリエイト側の仕様として、1商品1個あたりの報酬上限は1,000円という制限が設けられています。
このように、楽天ROOMは一般ユーザーにとっては「楽天の商品を紹介して小さく稼げるSNS」ですが、楽天市場に出店している店舗から見ると、「自社商品がユーザー投稿の形でどんどん露出するかもしれない、楽天内部の集客チャネル」として使えるわけです。
店舗目線で見る「ルーム」と「ショップページ」の違い
次に、店舗側がよく混乱しがちな「ルーム(ROOM)」「ショップページ」「店舗アカウント」の関係を整理しておきます。
ルームそのものは、先ほど書いたように「楽天に特化したお買い物SNS」で、アプリやWebから利用できます。一般ユーザーは自分のROOMを作り、商品や写真、レビューを投稿して交流します。そこから購入があるとアフィリエイト報酬が入る仕組みです。
ここに、店舗側が使える機能として「ショップページ」が加わります。ショップページは、ROOMの中に用意できる店舗用のページで、ユーザー投稿や店舗の投稿をまとめて見せる「ハブ」のような役割を持ちます。R-SNS(楽天のSNS連携有料サービス)を契約している店舗であれば、RMSのメニューから申請することでショップページを発行できます。
ショップページのメリットは、ユーザーが投稿してくれた「実際の商品写真」や、店舗アカウントが投稿したROOMの写真・コメントをまとめて見せられることです。たとえば、「ショップ・オブ・ザ・イヤー」のROOM賞を受賞した店舗では、ルーム投稿を活用してインテリアやコーディネートの写真をずらっと並べ、そこから商品ページへ飛べるように構成しています。こうしたショップページは、カタログ的な商品一覧とは違い、「生活の中で商品をどう使うか」が視覚的に伝わる導線を作れるのが強みです。
一方で、「店舗アカウント」は、ROOM内で店舗として投稿・運用するためのアカウント種別です。通常の一般アカウントとは区別されており、R-SNS契約をした上で、
1.一般のROOMアカウントを作る
2.RMSのマニュアルに沿って「店舗アカウントへの切り替え申請」を行う
3.おおよそ2週間前後で切り替えが完了する
という流れになっています。
ここで大事なのは、ショップページと店舗アカウントです。「似ているけれど別物」です。ショップページは、ユーザー投稿も含めてまとめて見せる「入口」であり、店舗アカウントはそこで投稿する「プレイヤー」です。R-SNS契約があり、ユーザー投稿が一定数あるなら、まずはショップページだけ立ち上げるという選択もありえますし、ゆくゆくは店舗アカウントを切り替えて、自らもROOM上で積極的に発信していくことができます。
R-SNS導入〜ROOM店舗アカウント・ショップページ開設の流れ
楽天市場に出店していて、「これからROOMをちゃんと活用したい」という店舗が踏むべき最初のステップを、ざっくり時系列でまとめると次のようになります。
最初に確認したいのは、R-SNSの契約有無です。R-SNSとは、Instagram・Facebook・LINE公式アカウント・楽天ROOMを、楽天市場の店舗運営に紐づけて使える有料サービスで、店舗ページからSNSアカウントへのリンク設置などが可能になります。
R-SNSを利用していないと、楽天ショップからROOMや他SNSへの公式リンクをきれいに案内することが難しくなるため、ROOMを「ちゃんと店舗として運用したい」場合は、ほぼ必須と考えてよいです。
次に、ROOMのアカウントを用意します。共用で運用する楽天会員IDを1つ決め、そのIDで一度一般ROOMアカウントを作ります。そのあとで、RMS内のマニュアルに沿って「一般アカウントから店舗アカウントへの切り替え申請」を出します。切り替えには約14営業日程度かかり、完了すると店舗用のROOMアカウントとして運用できるようになります。
同時に、ショップページの申請も進めます。RMSメインメニューの「コミュニティ」→「R-SNS利用申し込み」等のメニューから申請画面に入り、「ショップページ発行を希望する」にチェックを入れて申請します。ここで注意が必要なのは、「ユーザーが一切商品を紹介していない場合はショップページが作れない」という条件があることです。すでにユーザーが自社商品をROOMで紹介してくれているか、あるいはキャンペーンなどで投稿を促しているかが、ショップページ開設の前提になります
こうして、
・R-SNS契約
・ROOM店舗アカウント
・ショップページ
の3点セットが揃うと、「楽天市場 × ROOM」を店舗施策として扱える土台が整います。
楽天ROOMを店舗が活用する時の「運用ルール」と注意点
ROOMはアフィリエイトをベースにしたSNSなので、「店舗としてどう振る舞うか」についてもルールがあります。
代表的なものとして、規約上、店舗の中の人が「個人アカウント」として自社商品を紹介し、アフィリエイト報酬を自分で受け取る行為は原則NGとされています。正しく運用するには、きちんと店舗アカウントを作り、その上で投稿を行う必要があります。
報酬面では、先ほど触れたように、楽天アフィリエイトの通常報酬はジャンル別に2〜4%が基本で、ROOM経由の注文にもこれが適用されます。そこにROOMランクボーナスが上乗せされる形になり、ROOMのランク(D〜Sなど)が上がると、報酬率が少しずつ増えていきます。ランクを維持・向上するためには、ログイン時のダッシュボードに表示される
・キーワード検索をする
・いいねやフォローを一定数行う
・月1回以上は画像付きの投稿を続ける
といった条件を継続的に満たす必要があります。
また、1商品あたりの報酬上限(おおむね1,000ポイント)や、同一ユーザーによる大量購入などに対する制限があるため、インフルエンサーとの広告施策を組む際には、報酬設計とルールをよく確認する必要があります。店舗としてインフルエンサーやROOM上の人気ルーマーと連携する場合は、
・どこまでが楽天アフィリエイトの通常枠なのか
・どこから先が別途タイアップ料・制作費の領域なのか
を切り分けておくと、後々のトラブルを減らせます。費用感やメニューは楽天側にも相談できるため、正式なコラボを考えるときは一度窓口に問い合わせるのが安全です。
投稿内容とショップページ構成のコツ
実際の運用段階で、ROOMを「売上につながる導線」に変えていくためには、投稿内容とショップページの見せ方が重要になります。
まず店舗アカウントの投稿については、単に商品画像と価格だけを貼るのではなく、実際の使用シーンや生活シーンに落とし込んだ写真・コメントのほうが、ROOMの文脈には合いやすいです。インテリアであれば部屋全体の写真の中に商品を映し込む、ファッションならコーディネート写真の中で自然に見せる、といった形で、「使っている状態」を見せる投稿が好まれます。
文章も、スペック列挙だけでなく、
・どんな悩みを持つ人に向いているか
・自分自身やスタッフが使ってみた感想
・他の商品と比べてここが良かったポイント
といった「人の言葉」が入っていると、ROOMらしい「おすすめ感」が出てきます。
ショップページ側では、ユーザー投稿をうまく活用するのがポイントです。モダンデコなどの受賞店舗では、ユーザーが投稿してくれたオリジナル写真だけを絞り込んで表示する機能を使い、いわば「お客様の写真ギャラリー」のような見せ方をしています。そこから商品ページに飛べるようにしておくと、単なるカタログではなく、「生のレビュー × 商品ページ」という二段構えの導線になります。
そのためには、まずユーザーに商品投稿をしてもらう必要があります。キャンペーンやレビュープレゼント、ROOM投稿コンテストなどで、「my ROOMに投稿すると〇〇」というインセンティブを用意し、商品写真を増やしていくことも検討できます。ある程度ユーザー投稿が貯まると、それ自体がショップページのコンテンツになり、新規顧客にとっての「信頼材料」になってくれます。
効果測定とPDCAの回し方
ROOMを店舗施策として回していくには、「やって終わり」ではなく、数字を見ながら改善することが欠かせません。
基本的には、
・楽天アフィリエイトの管理画面で、ROOM経由の成果報酬や注文状況を見る
・RMSやアクセス解析側で、ショップページやROOM関連の流入を把握する
・ROOMアプリ側では、投稿ごとのいいね数、保存数、フォロー増加などの反応を見る
といった形で、複数の指標を組み合わせていきます。
たとえば、ショップページに掲載している投稿の中で、
・クリック率や閲覧数が高い商品は何か
・いいねや保存が多いのはどんな写真・コメントか
を見ていけば、「ROOMで刺さりやすい商品・見せ方」の傾向が段々と見えてきます。その結果を踏まえて、TOPバナーに載せる商品を変えたり、楽天広告やメルマガで推す商品をROOMと揃えたりすることで、全体の一貫性も出てきます。
PDCAの基本はシンプルで、
1.仮説を決める(例:このカテゴリの商品はROOMと相性が良さそう)
2.投稿やショップページの構成を変えてみる
3.1〜2か月単位で成果と反応を見る
4.良さそうなら拡大、イマイチなら別の仮説に切り替える
というサイクルを地道に回すことです。
「楽天内部のもう一つの売り場」としてROOMを位置づける
ここまでを振り返ると、楽天ROOMとショップページは、
・楽天の外に連れて行くSNSではなく、「楽天の中にある別の売り場」
・一般ユーザーと店舗アカウントが同じ土俵で、おすすめ商品を投稿し合う場
・ユーザー投稿(UGC)がそのまま店舗のコンテンツになる仕組み
という、少し独特なポジションにあることが分かります。
他のSNS(InstagramやTikTokなど)は、おもに「外から楽天に連れてくるチャネル」として使うイメージが強いですが、ROOMは楽天市場の内側で完結する導線を持っているのが特徴です。R-SNSを使えば、楽天の店舗ページからROOMや他SNSに正規のリンクを張れるため、「楽天 → ROOM → 楽天」という循環を意識して設計することもできます。
個人的な所感としては、ROOMとショップページは「いきなり爆発的な売上を作る武器」というより、
・中長期的に「お店のファン」を増やす
・自社商品の使い方や世界観を、写真とコメントで積み上げていく
・その延長線上で、楽天内部の入口を1つ増やしておく
といった位置づけで捉えると、現実的な期待値に落ち着きやすいと感じています。
すでにR-SNS契約がある店舗であれば、まずは
1.自社商品がROOMでどれくらい投稿されているかを確認する
2.ユーザー投稿がある程度あれば、ショップページの申請をして入口を作る
3.そのうえで、余力が出てきたら店舗アカウントに切り替えて、少しずつ投稿を増やしてみる
という三段階で進めるのが、現場としても無理がないはずです。
楽天ROOMは、まだ店舗側の活用例が「やり込んでいる一部のショップ」に偏っている印象もあります。裏を返すと、きちんと仕組みを理解して地道に運用すれば、競合より一歩先に出やすいチャネルでもあります。
「まずは自分でROOMをユーザーとして触ってみる」「次に店舗目線で自社商品の露出状況を見る」――そんな小さな一歩から、楽天内部の新しい売り場づくりを始めてみるのがよさそうです。









